リバランスはリターンを向上させるか 実測編2

リバランスはリターンを向上させるか 実測編1で書いたように同じ資産内でのリバランスについて検証します。

検証条件

リバランス無しの指数とリバランス有りの指数を比較します。具体的な比較対象は浮動株修正時価総額加重平均のMSCI指数(リバランス無し)とEqual WeightのMSCI指数(リバランス有り)です。

MSCI 指数パンフレットによるとEqual Weight(均等ウェイト)指数の構成銘柄は元指数と同じ(銘柄選択は行わない)、個別銘柄のウェイト付け方法は元指数の構成銘柄を等ウェイト、リバランスは年2回です。

※MomentumやQualityなどの他のスマートベータ指数もリバランス有りですが、銘柄選択による影響を除くためEqual Weightを選択しました。

今回の検証において「同じ資産」とは「同じ地域の株式」を意味します。地域は米国(USA)、欧州(Europe)、日本(Japan)、新興国(Emerging)、参考としてグローバル(World)も検証に含めました。地域ごとに用いる指数は以下の通り

リバランス無し指数 リバランス有り指数
USA MSCI USA MSCI USA Equal Weight
Europe MSCI Europe MSCI Europe Equal Weight
Japan MSCI Japan MSCI Japan Equal Weight
Emerging MSCI Emerging MSCI Emerging Equal Weight
World MSCI World MSCI World Equal Weight

指数はすべてGross(配当再投資、課税無し)、通貨はUSA,Emerging,WorldがUSDでJapanとEuropeがLocalとしました。

指数のデータはMSCIのサイトより引用しました。

期間は1994年6月末~2016年7月末とします。これはEqual Weight指数のデータが1994年までしか遡れなかったためです。

検証結果

1994年6月末時点での資産額を100として資産額推移をグラフにしました。後にEWとついているのがEqual Weightです。どの地域においてもリバランス無し(時価加重)よりリバランス有り(Equal Weight)のほうがリターンが良いです。

資産額推移_各資産_等分散

それぞれのリターン&ボラティリティを散布図にしました。◆がリバランス無し(時価加重)、●がリバランス有り(Equal Weight)です。

リターンとボラティリティ_各資産_等分散

 

USA

USA EW Europe Europe EW
リターン 9.60% 10.80% 7.33% 7.70%
ボラティリティ 18.9% 19.1% 20.8% 23.5%
 

Japan

Japan EW Emerging Emerging EW World World EW
リターン 0.42% 2.06% 5.35% 6.00% 7.11% 7.65%
ボラティリティ 23.4% 21.8% 31.8% 35.2% 18.0% 19.3%

リターンはEqual Weightのほうが良いですがボラティリティは良かったり悪かったりです。どちらかというとEqual Weightのほうがボラティリティは悪い傾向にあります。

前回の記事同様に投資期間を色々変えて検討してみたところ必ずしもEqual Weightのほうがリターンが高いわけではないことが分かりました。

投資開始年によって2015年年末時点での年率幾何平均リターンがどのように変わるかを計算してみました。投資開始年を1994年、1995年、・・・と変えた時の2015年年末での年率幾何平均リターンをリバランス無し(時価加重)とリバランス有り(Equal Weight)で算出し、リバランス有り(Equal Weight)のリターンからリバランス無し(時価加重)のリターンを引いた差分をプロットしました。

開始年によるリターン変化_時価加重との差分

グラフは横軸が投資を開始した年、縦軸が2015年年末時点での年率幾何平均リターンです。 どの地域も差分が0%以上である(つまりEqual Weightの平均リターンが高い)年が多いです。

リバランス有り(Equal Weight)のリターンからリバランス無し(時価加重)のリターンを引いた差分の平均(投資開始年を1994年~2015年に変えた時の算術平均)とリバランス有りの勝率も計算してみました。

 

リバランス有り(Equal Weight)

  USA Europe Japan Emerging World
リバランス無し(時価加重)とのリターン差分の平均 0.91% 1.08% 2.16% 0.84% 0.67%
勝率 77.3% 90.9% 100% 86.4% 68.2%

真の勝率が50%の時の

99%信頼区間

22.7%~72.7%

真の勝率が50%の時の

95%信頼区間

27.3%~68.2%

USA、Europe、Japan、Emergingでの勝率が99%信頼区間の上限を越えており、「同地域での株式市場内における年に2回のリバランスは有意にリターンを向上させる」と言ってもいいかもしれません。

同じ資産内リバランスだけの効果で年0.67~2.16%のリターン改善があるなら他のスマートベータ指数も同程度の改善を見込めそうです。時価加重の指数をベンチマークとしている投資信託(ETF含む)よりもスマートベータをベンチマークとしている投資信託のほうが信託報酬は高いのが普通ですが、それでも信託報酬の差が例えば0.3%程度ならスマートベータを選ぶのが合理的ではないでしょうか?

前記事との比較

前記事では異なる資産でのリバランスを検証しました。

リバランス有無によるリターンの違い

異なる資産でのリバランス

(株式、債券、国内と海外)

年平均で0.02~0.30%

(前記事の結果)

同じ資産内でのリバランス

(同じ地域の株式)

年平均で0.67~2.16%

(今回の結果)

異なる資産でのリバランスより同じ資産内でのリバランスのほうがリバランスの影響が大きいという直感とは違う傾向が見られました。

理論編でも述べたようにリバランス有りのほうがリターンが高くなる条件は以下の通りです。

・個々の資産の相関係数が低い

・個々の資産のボラティリティが高い

・資産間のリターンに差がない

異なる資産と同じ資産で条件を比較すると以下の表のようになります。黄色のセルがリバランスがリターン改善に寄与する条件です

 

異なる資産

(株式、債券、国内と海外)

同じ資産

(同じ地域の株式)

個々の資産の相関係数 低い 高い
個々の資産のボラティリティ 低い 高い
資産間のリターンの差 大きい 小さい

勝手な予想ですが、同じ資産内のリバランスがリターン改善に寄与したのは主に個別株式のボラティリティの高さによるのではないかと思っています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする