リバランスはリターンを向上させるか まとめ

リバランスがリターンを向上させるかを理論、数理(シミュレーション)、実測で検証してきました。

理論_実験_数理

理論編ではリバランスが必ずしもリターンを向上させるものではないということを確認し、リバランス有りがリバランス無しのバイ&ホールド(以下単にバイ&ホールド)より高いリターンを示す条件を明らかにしました。

  • 個々の資産の相関係数が低い
  • 個々の資産のボラティリティが高い
  • 個々の資産のリターン差が小さい

数理(シミュレーション)編では現実的な条件下でリバランスがリターンにどう影響するかを見ました。

バイandホールドとリバランスのリターン比較2

  • リバランスが常にリターンを向上(あるいは低下)させるということは無い
  • 下記の理論どおりの傾向を現実的な条件で確認できた
    • リバランスするとリターン分布のバラつきが小さくなる
    • 資産のリターンが好調な時はリバランス<バイ&ホールド、不調の時はリバランス>バイ&ホールド

シミュレーションでもリバランスがリターンを向上させるかはどうかは一概には言えませんでした。

実測編1実測編2では実際のヒストリカルデータを用いてリバランス有りとバイ&ホールドのリターンを比較しました。

異なる資産(国内株式、外国株式、国内債券)でのリバランスを検討した実測編1では1年に1度のリバランスが最もリターンを改善させましたが、リバランスによるリターン向上は平均して年率0.3%程度に留まりました。

開始年によるリターン変化_バイandホールドとの差分

課税やコストを考えると定期的なリバランスは不要だろうというのがひとまずの結論です。

時価加重指数とEqual Weight指数を比較することで同じ資産内(例えば米国株式内)でのリバランスを検討した実測編2ではリバランスによるリターン向上は平均して年率0.67~2.16%でした(米国、欧州、日本、新興国で異なります)。

開始年によるリターン変化_時価加重との差分

リバランス有りのEqual Weight指数の勝率を見るに「同地域での株式市場内におけるリバランスは有意にリターンを向上させる」と言ってもいいと思います。

スマートベータ指数は基本的にリバランスしているので他のスマートベータ指数でも同様のリターン向上を期待できます。時価加重の指数をベンチマークとしている投資信託(ETF含む)よりもスマートベータをベンチマークとしている投資信託のほうが信託報酬は高いのが普通ですが、それでも信託報酬の差が例えば0.3%程度ならスマートベータを選ぶのが合理的ではないでしょうか?もちろん他にも考慮すべきこと(例えばETFの場合なら流動性)はありますが。

これらの検証を踏まえて個人インデックス投資家はどのような行動を取るべきか?

リターンの改善を求めて異なる資産(国内株式・海外株式・債券)のリバランスを定期的に行うのは理論・シミュレーション・実践編1が示唆するようにあまり大きな効果はないでしょう。なので課税やコストや手間を考えて定期的なリバランスは実施する必要はないと思います。

アセットアロケーションを変えるタイミングで新しい比率に再配分すれば十分ではないでしょうか。変えるタイミングは結婚や出産などのライフイベントや10年に1度の見直し(資産取り崩しまでの残り期間が短くなっているため)やセミリタイヤ決行時などです。

同じ資産内での定期的なリバランスは費用対効果が高そうなことが実践編2で示されました。つまり信託報酬が多少高くてもスマートベータ指数に投資できる投資信託(ETF含む)のほうが有利であろうということです。

時系列でまとめると

  • アセットアロケーションを決める。切り口は色々あるが考えるべきは
    • 預金と投資金額の比率、あるいは預金の絶対額
    • 株式と債券の比率
    • 地域ごとの比率(国内・米国・欧州・新興国・フロンティアなど)
    • こだわる人はセクターごとなど
  • (信託報酬の差や流動性を考慮したうえで)リバランスが定期的に行われるスマートベータ指数に連動する投資信託・ETFを購入する。
  • いったん投資したら基本的には異なる資産でのリバランスを定期的に実施する必要は無く、アセットアロケーションを変えるタイミングで目標とする配分にする

となります。

※積み立て投資に関しては検討していないのでここでは触れていませんが、安くなった資産を買い増すいわゆるノーセルリバランスをお勧めいたします。そのときに別のスマートベータ指数連動投資信託を購入して分散効果を高めるのもアリでしょう。

※最後に大前提ですが、リバランスはリターン向上でなくリスク管理を目的に行うべきです。一連の記事ではリバランスをリターンのみから評価しており、リスク管理は考慮しておりません。株式の比率が高まりすぎて許容リスクを超えていると判断したらリターンや課税よりもリスク管理を優先してリバランスすべきです。

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